研究概要 |
本研究課題は,聴覚障害者の情報獲得を支援することを目的に,ニュース速報文を手話アニメーションに言語変換(翻訳)を行うシステムを実現(構築)するための基礎的な研究,すなわち,要素技術についての検討を行った.特に,ニュース速報文のヘッドラインの翻訳技術について検討した.ヘッドライン文は,字数の関係で簡潔な短文で構成される.その結果,助詞が省略されたり,難解な漢字連続の複合語を生成してしまい,辞書引きや構文解析に失敗する傾向がみられる.そこで,本研究では,ニュース記事の特徴的な論理構造に着目し,省略された助詞等の文法情報を復元する方式を考案した.すなわち,ヘッドライン文はリード文の要約または縮約に相当し,リード文は本文記事の要約結果と捉えることができる.そのため,ヘッドライン文の省略情報の多くは,要約前のリード文中に保持されている可能性が高い.実験の結果,提案手法の妥当性を示す結果が得られた.これらの研究成果は,3月末に開催される言語処理学会の「言い換えに関するワークショップ」の発表論文として採択された.また,5月に韓国で開催される国際会議(ICCPOL)にも論文が採択された.このように,本研究課題での成果は国際的にも高い評価を得ている.
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