研究概要 |
平成11年度は,当初の計画に従って臨床例におけるVF画像データを可能な限り多数例を撮影し,臨床への応用方法を確立するための資料づくりを行った.特に有床義歯患者の嚥下障害と誤嚥に関するデータを加齢歯科と協力して撮影し,臨床診断に活用した.例示すると1.舌全摘出術後患者の顎義歯補綴治療では顎義歯の咀嚼嚥下障害への対応の限界と可能性について 2.脳梗塞による嚥下障害無歯顎患者の義歯装着では義歯の装着とリハビリテーション計画立案について 3.口腔底癌切除術症例の補綴治療後の嚥下障害では舌運動障害と義歯の咬合高径との関係について 4.全部床義歯患者の咀嚼障害では難症例全部床義歯患者の咀嚼部位を明らかにすることについて 5.下顎半側切除術後の顎義歯の咀嚼障害では顎骨切除側への義歯床延長の意義に関して等を明らかにした.現在,新潟大学歯学部附属病院における摂食・嚥下障害の治療に関する検査診断にVFは必須のものとなっている.今後は,増加する高齢者の咀嚼嚥下障害に関するリハビリテーションの計画立案に重要な役割を果たせるようにして行きたい.VF撮影後のデータ処理に関しては,学会発表用スライド作成や論文投稿用写真のプリント作成にも対応可能な高解像度の画像データと日常臨床の患者データを8mmビデオテープに保存する簡易的な方法の2本立てのデータ処理ができるようになっている.すなわち,学内の臨床研究の学術的要求のみならず,一般病院からのVF撮影の依頼に対応して診断結果と共にデータを提供できるようになっている.
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