研究概要 |
平成10年度は,VF装置(シーメンス社製マルチパルス特殊Cアーム型)に高速パソコンと特殊ビデオボードを導入し,撮影したVF動画像データを市販のマルチメディア機器での画像処理が可能とした.その結果,さまざまなメディアを用い,ユーザのパソコンの作業環境に合った画像データを利用できるシステムとした.画像処理は学会発表用スライド作成や論文投稿用写真作成にも対応可能な高解像度の画像データにする場合と日常臨床のデータを簡易的に8mmビデオテープに保存する場合の2通りで行っている.即ち,学術的要求ばかりでなく,一般病院のVF撮影依頼に対して診断結果と画像データを提供できる.また,公開できるデータは新潟大学の歯学部ホームページで利用できるよう現在再構築している. 平成11年度は臨床例におけるVF画像データを可能な限り多数例を撮影し,臨床への応用方法を確立するための資料収集を行った.特に有床義歯患者の嚥下障害と誤嚥に関するデータを撮影し,臨床診断に活用した.例示すると,1.脳梗塞による嚥下障害の無歯顎患者の義歯装着では義歯の装着時期と関連したリハビリテーション計画立案 2.全部床義歯患者の咀嚼障害では難症例全部床義歯患者の咀嚼部位 3.口腔底癌切除術症例の補綴治療後の嚥下障害では舌運動障害と義歯の咬合高径の関係 4.舌顎半側切除術後の顎義歯の顎骨切除側の義歯床延長の意義 5.舌全摘出術後患者の顎義歯補綴治療では顎義歯の咀嚼嚥舌障害への対応の限界と可能性等を明らかにした. 現在,新潟大学歯学部附属病院における摂食・嚥下障害の治療に関する検査診断にVFは必須となっている.今後は補綴科の咀嚼・嚥下障害関係ばかりでなく,口蓋裂患者の嚥下や発音に関するリハビリや唾液腺造影への応用などの各科の要望に対応できるシステムとしてゆきたい.
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