研究概要 |
本研究の目的は、骨誘導能を有する骨形成因子を用いてマウス大腿四頭筋内に実験的異所性骨化を形成させ、当該関節に運動負荷や不動化の負荷を与え、それらの新生骨形成への影響を見るものである。したがって、新生骨形成能の高い粗製骨形成因子を大量に準備する必要がある。そのため、牛骨皮質から、4モル・グアニジウム塩酸可溶性、0.5モル・グアニジウム塩酸不溶性かつ水不溶性の非コラーゲン性タンパク質画分を抽出・凍結乾燥した。凍結乾燥重量は1,647mgになり、移植実験には十分の量が確保できた。この粗製骨形成因子が移植用量依存性に一定の骨形成能を有することを確認した上で、ゼラチン・カプセルをキャリアーとしてマウスの大腿四頭筋内に10mgずつ移植した。移植肢に対し、運動群は持続的他動運動装置(CPM)を用い、毎日20分、膝関節を屈伸させ、その他の時間はプラスチック・ギプスにて固定した。関節不動化群は移植肢に対し、プラスチックギプス固定を続けた。自由運動群は移植のみを施行した。移植3週間後には、すべての移植肢大腿四頭筋筋肉内にソフテックスX-Pにて新生骨形成を認めた。移植部分をサンプリングし、1,000°Cで1時間焼灼し、新生骨灰分重量を求めた。これまでの研究において、関節運動負荷群、関節不動化群、自由運動群の順に多くの新生骨の形成を認めていたが、n値が小さく明らかな有意差を呈するには至っていなかった。本年度の追加実験において、上記の順で統計学的にさらに有意な新生骨量を確認することができた。現在、運動負荷時期を移植早期・中期・後期に分け、新生骨形成量に差が生じるか否かの実験を施行中である。今後、さらに異所性骨化部と周辺軟部組織の病理組織学的検討に入る予定である。
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