本研究では、免疫隔離膜に封入した細胞を脳内に移植する方法の研究開発を行っている。脳内へ移植するためには、できる限り移植物の体積を小さくする必要がある。従来の細胞オルガノイドのマイクロカプセル化法では、マイクロカプセルの直径が大きいため、マイクロカプセル化オルガノイドの体積は元の細胞体積の数十倍にもなってしまう。本研究では、遠心マイクロカプセル化法を用いることで、オルガノイドを厚さ数十μm程度の膜でマイクロカプセル化することを試みている。アルギン酸をマイクロカプセル化素材として用いて検討を進めた。試験管の中に底から比重1.059のデキストラン溶液、20mM塩化バリウムを含む比重1.045のデキストラン溶液、比重1.032のデキストラン溶液、さらにその上にモデルビーズ(Sephadex-G50)を含むアルギンサン溶液を重層し、これを170×gで10分間遠心した。モデルビーズは、アルギンサン溶液をひきずりながら遠沈され、BaCl@@S22@@E2を含む層を通過するときにゲル化が起こり、90%以上のモデルビーズが厚さ約10μmの膜でマイクロカプセル化された。この結果については、P0lym.Adv.Technnol.9.734(1998)に発表した。さらに、一度に多量のマイクロカプセルの作製を行うため、新たに専用遠心機の試作を行い、現在その最適条件を見いだすための実験を行っている。
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