研究概要 |
(1)軟口蓋挙上装置(Palatal Lift Prosthesis:PLP)による口蓋帆挙筋疲労が抑制できるかを検討した.被験者は,健常者および口蓋裂患者,ならびに当部初診脳卒中患者であった.健常者においては実験的PLPを作成後,他の被験者である患者群において装置完成後において,PLP装着時・非装着時における種々のtaskでの口蓋帆挙筋筋電図を採取し,PLP装着による筋疲労の軽減効果をFFT分析により検討した.FFT分析には,/pu/の連続表出時の口蓋帆挙筋活動をComputerを介してMacLabに取り込み,MPF(Mean Power Frequency)の経時的変化を検討した.その結果,全ての被験者において,装着時にはMPFの経時的低下率は小さくなり,PLPの疲労軽減効果が認められた. (2)PLP装着下に現有する実験的鼻腔内陽圧(Continuous Positive Air Pressure:CPAP)負荷装置(日口蓋誌,13(2):1994)により持続的に鼻腔内に種々の高さの陽圧を負荷し,口蓋帆挙筋活動が賦活されるかを健常者1名,口蓋裂患者3名により検討した.その結果,CPAP負荷により,鼻腔内圧が高くなると口蓋帆挙筋活動が上昇する結果が得られた.このことは,PLP装着により口蓋帆挙筋疲労を軽減した上で,持続的に鼻腔内に陽圧を負荷することによって,鼻咽腔閉鎖強度を強化できる可能性を示唆している.
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