研究概要 |
当部でのPLP装着症例から,対象となる脳卒中症例と対照とする口蓋裂例を選択し,携帯型のCPAPを用いて在宅CPAP療法を行い,その反応について,神経筋機構に問題を有する運動障害性構音障害例と器質欠損を主徴とする器質的構音障害例の代表である口蓋裂例によって検討した.脳卒中患者では,軟口蓋挙上装置(Palatal Lift Prosthesis:PLP)装着下に,現有する実験的鼻腔内陽圧(Continuous Positive Air Pressure:CPAP)負荷装置(日口蓋誌,13(2):1994)により持続的に鼻腔内に種々の高さの陽圧を負荷し,口蓋帆挙筋活動が賦活されるかを検討した.対応の認められた脳卒中症例に対して携帯型CPAP装置により在宅でのCPAP訓練を行った.その結果,CPAP負荷時の対応は症例毎に異なっており,若年例,発症から装置により管理下に置かれた症例では対応したが,高齢者ならびに無介入で長期放置された経過例では,CPAPへの対応が認められなかった.一方,脳卒中の責任病巣の大きさや部位とは関係が見られなかった.また症例によって,鼻咽腔閉鎖機能の賦活効果は,内視鏡による評価においても認められた症例があった.
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