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1998 年度 実績報告書

暑熱環境下における脊髄損傷者の運動時の体温調節及び循環反応に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 10838020
研究機関広島大学

研究代表者

山崎 昌廣  広島大学, 総合科学部, 助教授 (40128327)

キーワード脊髄損傷 / 体温調節 / 皮膚血流量 / 心拍出量 / 高温環境
研究概要

本研究の目的は高温環境下曝露中の体温の上昇が、脊髄損傷者(脊損者)の麻痺部皮膚血流量に及ぼす影響について検討することである。被験者は男子7名の脊損者(T5-L2)と男子7名の健常者であった。まず、被験者は環境温25℃、相対湿度50%に設定された部屋に1時間滞在した。その後、被験者は環境温33℃、相対湿度50-55%の人工気候室に1時間曝露された。実験期間中、大腿部皮膚血流量、毎回拍出量、心拍数、大腿中央部皮膚温、及び鼓膜温を連続測定した。脊損レベルが比較的高い4名の被験者(T6-Th10)では高温環境下に曝露中であっても、大腿部皮膚血流量の増加は認められなかった。一方、脊損レベルが低い残り3名の被験者(T11-L2)は大腿部皮膚血流量の増加を示した。鼓膜温は高温曝露中全ての被験者で上昇を示したが、皮膚血流量とは明瞭な関係が認められなかった。さらに、心拍出量は高温環境下でも大きな増加はなく、皮膚血流量との有意な関係もみられなかった。しかしながら、大腿部皮膚温と皮膚血流量の関係は両グループで有意な正の相関関係が認められた。皮膚血流量が増加すると皮膚温も上昇することから、脊損レベルが低い者の皮膚温上昇は皮膚血流量の増加で説明がつく。ところが、脊損レベルが高い者は皮膚温の上昇があっても皮膚血流量の増加が認められなかった。このことは、脊損レベルが高い被験者の場合、外界の高温が皮膚の温度を上昇させたことを示している。本研究の知見から、高温曝露中の大腿部皮膚血流量は脊損レベルに依存しており、交感性の皮膚血管運動神経が障害を受けていなければ、体温調節のために大腿部皮膚血流量は増加することが明らかとなった。

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公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

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