今年度は昨年度に引き続き運動失調の機能障害の信頼性及び妥当性の検討の一部を行った。 【はじめに】今年度は失調症・平衡機能障害を有する患者88例を対象として運動失調の評価を行った。昨年度作成したものと同じ評価票を使用した。評価票は上肢、下肢及び体幹に関するテストバッテリーがあり合計11の大項目からなる。【対象と方法】対象の内訳は脊髄小脳変性症42例、小脳・脳幹部の出血・梗塞・腫瘍26例、ウェルニケ脳症4例、その他16例、平均年齢53.5±14.7歳、男女比53:35であった。上肢項目の基準関連妥当性を検討するため58例で点打ちテストと線引きテストを行いSpearmanの順位相関係数を求めた。次に15例について、最初の評価から4週以内に別の検者による再評価を行い、検者間信頼性をカッパ統計量(weighted κ)で検討した。各大項目について信頼性係数(Cronbachα)を計算した。 【結果および考察】指鼻試験-点打ちテスト(的中数)では1%水準で有意、指指なぞり試験-線引きテスト(最大偏倚)では5%水準で有意な相関を認めた。検者間信頼性について、weighted κ値は0.30〜0.94であり、34項目中30項目でweighted κ≧0.40であった。信頼係数(Cronbachα)は0.72〜0.98であり、およそ良好な結果が得られた。今回検討を行った範囲で、作成した評価票は実用に耐えられる信頼性及び妥当性を有しているものと考えられる。尚、現在も対象を増やしているところであり、動作解析装置を用いた妥当性の検討を検討及び試行中である。
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