研究課題/領域番号 |
10838029
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
藤本 繁夫 大阪市立大学, 保健体育科研究室, 教授 (90128752)
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研究分担者 |
田中 繁宏 大阪市立大学, 保健体育科研究室, 講師
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キーワード | 要介護高齢者 / 身体機能 / 精神機能 / 重心動揺検査 / 6分歩行検査(6MD) / 平衡機能 / 日常生活活動(ADL) / 生活の質(QOL) |
研究概要 |
研究テーマの主題に沿い、平成11年度は介護を必要とする高齢者の身体機能および精神機能の包括的評価を行い、自立に必要な生活活力の維持向上のための基礎資料を得るために、下記の測定を行った。 【対象および方法】対象は老人保健施設に入所中および通所中の65〜95歳(平均年齢81.3±8.1歳)の女性24名。身体機能の評価には、文部省実施の新体力テスト(握力、上体おこし、長座体前屈、開眼片足立ち、10m障害物歩行、6分間歩行:6MD)を実施した。また、重心動揺検査やファンクショナル・リーチの測定を行い平衡機能を評価した。生活体力は起居時間、手腕作業時間、身辺作業時間を指標とした。ADLの評価は1日歩行数の記録と日常生活に関する12項目についてのスコア化を行った。GDS簡易版を用いた抑うつ度の評価、VASを用いたQOLの評価を行った。 【結果および考察】対象者の6MDは196.0±71.8mであり、平衡機能の指標である開眼片足立ち、重心動揺検査との間に有意な相関が認められた。生活体力は起居時間、手腕作業時間、身辺作業時間が、それぞれ、24.3±10.5秒、63.9±30.0秒、25.4±16.6秒であった。起居時間は6MD、10m障害物歩行、ファンクショナル・リーチ、重心動揺検査との間に相関が認められた。身辺作業時間も重心動揺検査と有意な相関を示し、要介護高齢者の日常生活における平衡機能の重要性が示された。ADLには、筋力、6MD、10m障害物歩行、起居能力の関与が認められた。GDSスコアは6.0±3.5であり、24名中8名(66.7%)がうつ状態を呈していた。また、QOLには、身体機能およびADLに加え、抑うつ度が関与していた。 以上、高齢者の自立に必要な身体機能、運動能力、生活体力およびADLの各項目の基準を明らかにし、平成12年度には、障害をもつ高齢者の平衡機能の改善を目的としたbalance training programを作成し、老人保健施設で介入研究を行う予定である。
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