研究概要 |
[目的]脳卒中や脊髄損傷などによる運動障害者の健康を阻害する因子として,近年虚血性心疾患か注目されている。運動障害と虚血性心疾患を結びつけるものとしてインスリン抵抗性が挙げられるが,その理由としてはインスリン抵抗性の発現の背景として重要視されている活動性の低下と肥満が運動障害者の多くに存在するからである。本年度の研究目的は,運動障害者におけるインスリン抵抗性の発現頻度を検討することである。 [結果] インスリン抵抗性の存在を示唆するものとして,高トリグリセリド血症・耐糖能低下・高インスリン血症が挙げられる。このことから,本研究では高トリグリセリド血症を有する運動障害者45例に75グラム経口糖負荷試験を行い,高トリグリセリド血症に加えて耐糖能低下と高インスリン血症とを合せ持つ例をインスリン抵抗性有りとし,運動障害者におけるインスリン抵抗性の発現頻度を検討した。その結果,高トリグリセリド血症を有する運動障害者45例中16例(36%)にインスリン抵抗性の発現が認められた。 [考察] 1. 高トリグリセリド血症は,インスリン抵抗性の有無をスクリ-ニングする指標として有用である。 2. 運動障害者におけるインスリン抵抗性の発規頻度は,決して低くないことが示された。
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