研究課題/領域番号 |
10838042
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
亀谷 隆一 日本大学, 医学部, 講師 (30256862)
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研究分担者 |
野崎 幹弘 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (70086586)
新美 成二 東京大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00010273)
牧山 清 日本大学, 医学部, 講師 (00139172)
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キーワード | 喉頭摘出者 / 音声再建 / 新声門 / 高速撮影 / T-Eシャント / 食道発声 |
研究概要 |
平成11年度は前年度の症例1(単純喉頭摘出後の食道発声例)に引き続き喉頭摘出例の観察を行った。追加観察した症例は症例2が喉頭癌のための喉頭摘出術例、症例3が下咽頭・喉頭・頚部食道合併切除例であった。症例2は喉頭摘出後に音声再建法として皮弁による気管食道瘻(T-Eシャント)を作成した。症例3は遊離空腸を用いて下咽頭から頚部食道の再建と、音声再建法として気管食道瘻を作成した。その際、再建食道から気管への誤嚥を防止する目的で、気管から食道に至る空腸再建部を像の鼻のようにル-プ状に作成した。この方法は研究分担者の野崎が考案しエレファント型音声再建法と名付けている。症例3以外にもこの再建法を施行した複数の症例についてデ-タを集積したが、結果については症例3を代表例として示す。 通常光源によるファイバ-画像および研究分担者の新美の施設にある高速デジタル撮影装置による解析画像を検討した。症例1と2では発声時に下咽頭粘膜に粘膜波動が観察された。発声を指示すると下咽頭粘膜が閉鎖された後に粘膜が弁状になり正常声帯と似通った振動が観察された。粘膜振動部位は2症例とも下咽頭収縮筋の残存部であった。症例3では下咽頭は移植空腸に漏斗状に移行しており、発声時には空腸雛壁の一部に粘膜波動が観察できた。症例1または2と異なり発声時に振動部に閉鎖運動はなく、開放されたままで振動していた。空気力学的な側面により新声門の部位が受動的に決定されると考えられた。 このように新声門の発声調節には症例1、2で観察された下咽頭収縮筋が残存しているか否かが重要である。症例3のように広範囲に合併切除した例に対してエレファント型音声再建法は有用であったが、今後はいずれかの筋肉、例えば胸鎖乳突筋を新声門部周囲へ移植するなどの方法を試行し、より良い新声門調節機能を獲得させる可能性を考慮するべきと考えられた。
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