下肢不自由者の多くは、車椅子によって日常の生活を行っているが、段差乗り越えや階段昇降など、通行に介助者を必要とする所が多く、移動用車椅子開発の大きな課題となっている。本研究では車輪と脚を持つ車椅子を提案している。階段昇降中、滑落が生じたり車椅子の姿勢の変動が大きい等、乗り心地の面で不具合が生じたが、傾斜センサの採用により車体を水平に保ち、脚を垂直に制御できるように改造を行い、センサの負担を軽くし滑落を防いだ。接触、近接センサの使用に際し、その設置スペースの確保が難しく、足回りの小型、簡素化ができず、またセンサの誤動作、外乱等の予測とその除去が難しい、また安全を確保できない等は、CCDカメラを用いて階段昇降時には安全性確保のため足元のセンサ専用とした。また、アクチュエータに故障が生じたり、階段を踏み外したりした時の安全性の対策として、リライアブルコントロールの採用を試みた。また開発途中で、次々とシステムを改変する事無く設計方法を付加できる、更に環境の変化にも対応できるサブサンプションアーキテクチャ法を用い、人間と共存して移動できるシステムの構築を目指した。実物大の車椅子の作製には至っていないが、2分の1モデルの作製により、階段昇降時における高速性を考慮したCCDカメラの画像処理による階段計測システムの作成を行い、カメラは平地自動走行の際にも用いられ、実験検討を行った結果、問題は残るが、目的は7割方達成できたと確信している。
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