研究概要 |
老齢犬のスクリーニングテスト 老齢犬の脳機能、視覚・聴覚機能のスクリーニングテストとして、10才〜18才の老齢犬18頭について脳波、網膜電位(ERG)、視覚誘発電位(VEP)並びに聴性脳幹誘発電位(BAEP)を測定した。その結果、脳齢犬の脳波は若齢犬に比べて低振幅であり、速波の減少が共通した所見であった。臨床症状から痴呆様症状を呈すると考えられる例では特に脳波の振幅低下が顕著であり、最も顕著な2例ではほぼ平坦な脳波パターンであった。視覚・聴覚機能についてみると、臨床症状で重度の障害が疑われた症例では、ERG,VEP,BAEPのいずれにおいても反応の減弱あるいは消失が認められた。また、臨床的には特に障害の認められない例においても各反応は減弱する傾向にあり、これら所見は老齢犬に共通して起こるものと考えられた。 痴呆モデル動物(ラット)の作成 通常食で飼育したWistar-Imamichi系ラット(体重250g)の両側前脳基底部にイボテン酸各5μgを投与し、1週間放置することによって痴呆モデル動物を作成することに成功した。さらに、vehicle群を対照として自作した受動回避反応箱による記憶機能試験を実施した。その結果、イボテン酸投与群では記憶の保持時間が有意に短縮することが確認され、記憶障害モデルとしての有用性が実証された。 現在、DHA飼料あるいはDHA欠乏飼料でラットを飼育しており、それらから得られた新生子について記憶障害時のDHAによる改善効果を検討中である。
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