老齢犬の睡眠・覚醒リズム 前年度に行った老齢犬の脳機能、視覚・聴覚機能のスクリーニングテストに引き続き、睡眠・覚醒リズムについて検討した。実験には、16才以上の老齢犬2頭及び若齢犬2頭(対照群)を用い、テレメトリーシステムによる脳波・筋電図・心電図の24時間連続記録を行った。その結果、若齢犬では明瞭な明暗リズムが認められ、さらに明期においても一過性に睡眠のピークが出現した。これに対して老齢犬では、暗期の睡眠は分断され、明期においても断続的な睡眠傾向が認められた。さらに老齢犬では、REM睡眠が激減し、総睡眠時間も減少する傾向にあった。これらの結果は、人の高齢化に伴う睡眠障害のパターンに酷似しており、老齢犬がモデル動物となる可能性が示唆された。 痴呆モデル動物(ラット)に対するDHAの効果 DHA欠乏食で飼育したWistar-Imamichi系雌ラットを交配し、得られた新生子を8週齢までDHA欠乏食で飼育し、DHA欠乏ラットを作成した。このラットを用いて8週齢から7日間にわたり能動回避試験を実施した。各試験後にDHA(投与群)あるいは生理食塩水(対照群)を経口投与した。その結果、対照群では3日目まで学習効果は全く認められず、7日目で約50%の回遊率であったのに対し、投与群では、初回の投与から劇的な学習効果が認められ、4日目には回避率80%の学習達成域に至った。これらの結果から、今回作成したDHA欠乏ラットはDHAに依存した学習障害を呈することが示唆され、DHAの改善効果も確認された。
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