研究概要 |
本研究は、人工哺育期の子牛において固形飼料の給与が水分出納および糞水分含量に及ぼす影響と、その原因を明らかにする目的で実施された。 1.哺乳期間中の固形飼料(濃厚飼料とチモシー乾草)の給与は、給与後2週間以内に尿量の減少と、見かけの水分保持良(AWR)と糞中水分排泄量の増加、および糞水分含量の増加をもたらす。[実験1] 2 尿量の減少とAWRの増加は、主として尿細管における水の再吸収が促進されるためである。[実験2] 3 尿細管における水の再吸収の増加は、代用乳の給与量と固形飼料の摂取により抗利尿ホルモン(ADH)の分泌が促進されるためである。血漿中のADH濃度と酢酸および総ケトン体濃度との間には正の相関が存在する。[実験3] 4.AWRと糞中水分排泄量は濃厚飼料の不断給与によって増加するが、粗飼料源である稲ワラには認められなかった[実験4] 5.AWRの変化と糞水分含量の上昇は代用乳に加え、スターターとチモシー乾草を給与した場合の方が最も大きかった。水分保持量は可消化DMI、糞水分排泄量は糞DMとの間に高い相関が認められる[実験5] 6.不断給与下での水分出納と糞水分含量はスターターと乾草の影響を受ける。制限給水下での代用乳と固形飼料給与蒔の尿量は、代用乳単独よりも減少する。しかしながら、不断給水下で固形飼料を給与した場合、尿量は代用乳単独と同程度であった。糞水分排泄量は糞DMよりはむしろ水分保持量との間に高い相関が存在する。以上の結果、ルーメン発酵がAWRと糞水分含量に影響を及ぼす主要因であることが示唆された。[実験6] 7.しかし、酪酸のルーメン内注入は血漿ケトン体とADH濃度を増加させたが、ケトン体の静脈内注入では血漿ADH濃度を増加しなかった。[実験7,8]
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