研究課題/領域番号 |
10871001
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山内 志朗 新潟大学, 人文学部, 助教授 (30210321)
|
研究分担者 |
鈴木 佳秀 新潟大学, 人文学部, 教授 (30154602)
|
キーワード | イスラム / スコラ哲学 / 中世哲学 / 存在論 / 新プラトン主義 / イブン=シーナー / ドゥンス・スコトゥス / ガンのヘンリクス |
研究概要 |
本年度は萌芽的研究の初年度にあたり、資料の収集およびテキストの基礎的調査を研究の主眼とした。本研究の目標は、イスラム哲学の西洋中世哲学への影響関係を調べることであり、イスラム哲学においては、アル=キンディー、アル=ファーラービー、イブン=シーナー、イブン=ルシュドが中心となる。本年度は、これらの哲学者の基本的テキストのアラビア語著作、それらの翻訳書(英、独、仏)、研究書、研究論文を収集した。イスラム哲学は、本邦において、研究者の少ない領域であり、また書籍の入手も困難であり、長期的な資料収集計画のもとに研究が進められるべきものであり、国内の大学における所蔵状態の調査を含めて、研究の基盤を確保することが当面の課題になると思われる。また、西洋中世において、これらのイスラム哲学から大きな影響を受けた哲学者として、オーヴェルニュのギヨーム、トマス・アクィナス、ガンのヘンリクス、ドゥンス・スコトゥスを考察対象とした。具体的な研究作業としては、研究分担者による個人研究の他、テキストの読解能力を高めるために、学生を交えたアラビア語勉強会、および基本的テキストの研究会を定期的に開催した。 イスラム哲学の影響は、多岐にわたるが、本研究では、神学・形而上学(特に存在論)の側面に重点を置いてある。本年度は、プラトン、アリストテレス、プロティノスに由来する存在論の基礎概念が、イスラム哲学でどのように翻訳され、受容されたのか、そして、西洋中世に受容された際に、どのような変質を被ったかの調査研究を始めた。その成果の一部を発表することができた。山内(研究代表者)の論文2本(「アヴィケンナの存在論との関連から見た、スコトゥスの個体化論」、「ドゥンス・スコトゥスの存在の一義性とアヴィケンナの影饗」)がそれである。
|