インターネットの内部で生起しているさまざまな宗教的コミュニケーションのあり方を調査し、その傾向を分析した。検索エンジンを有効に使いながら、どういったテーマに情報の集中が見られるかを明らかにし、特定のテーマに沿った宗教的表象の収集、分類、分析をおこなった。問題を発展させるため、二面からアプローチすることが必要と思われた。 第一に、インターネット(主にWWW)に見られる宗教的表象の全体的な傾向を把握することで、グローバル・ネットワークと宗教的実践の結びつきの特徴を明らかにする問題がある。これまでの調査では、インターネットはきわめてアメリカ中心の傾向を持ち、宗教に限るならとりわけニューエイジと呼ばれる新宗教的な世界観を色濃く反映していることが確かめられた。このアプローチに沿って、カルト、ペイガン運動、UFOなどのテーマについて具体的な理解を深めた。 第二に、インターネットをどのくらい有用な調査研究の道具と考えることができるかという問題がある。これは第一のアプローチと緊密に結びついている。インターネットの「世界観」に関係するテーマほど熱い議論を呼び、結果として豊かな情報が得られやすいことになるからだ。こうした観点に沿い、ヘブンズゲート、原理主義、堕胎などのテーマについて具体的な追究を行った。 以上のような調査研究の結果、テーマと注目に値するサイトを絞り込むことができた。来年度はその結果に乗っ取り、対象とするサイトの管理者にインタビューなどを試み、問題をより有機的にとらえることを目指したい。
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