研究課題/領域番号 |
10871023
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
池田 一成 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (50293006)
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研究分担者 |
奥住 秀之 東京学芸大学, 教育学部, 助手 (70280774)
橋本 創一 東京学芸大学, 教育学部, 講師 (10292997)
林 安紀子 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (70238096)
菅野 敦 東京学芸大学, 教育学部, 助教授 (10211187)
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キーワード | ミスマッチ陰性電位 / 音声知覚 / 知的障害 / 感覚記憶 / 注意 |
研究概要 |
今年度は健常成人を対象にして事象関連脳電位を指標とする音声知覚実験の新たな枠組みを確立するとともに、その枠組みに基づいて知的障害者を対象とする実験的検討に着手することができた。 1. オッドボール逆転課題(事象関連脳電位を指標とする音声知覚実験の新たな枠組み) 事象関連脳電位のうち、本研究が指標として採用したミスマッチ陰性電位(MMN)を誘発するためには、従来オッドボール課題が用いられてきた。オッドボール課題では出現確率の異なる2刺激(標準刺激と逸脱刺激)を被験者に提示し、その結果、出現確率の小さい逸脱刺激に対しMMNが出現する。本研究はオッドボール課題のセッション間で標準刺激と逸脱刺激を逆転させる手続きを開発した。このオッドボール逆転課題により、次に述べる2つの発見をした。(1)2刺激の一方が純音、もう一方が人の声に類する複合音であるとき、純音の逸脱刺激と複合音の逸脱刺激の間ではMMNの出現パターンが著しく異なる。すなわち、純音と複合音の間には音声処理に著しい非対称性がある。(2)2刺激の一方が日本語の典型的母音、もう一方が同じ母音カテゴリに属しながら典型性から少し逸脱する母音であるとき、MMNの出現は逸脱刺激が前者である場合より後者である場合により顕著になる。この知見は音声処理が音素カテゴリに規定されることを示唆する。 2. 知的障害者の音声知覚に対する事象関連脳電位による検討 上記(1)の実験パラダイムを用い、知的障害者の音声知覚を検討し始めている。現時点の知見ではMMNの基本的出現パターンは知的障害者と健常者の間で共通する。しかし、知的障害者のMMNは健常者と比べ低振幅の傾向にあり、音声の自動的処理に障害があることを示している。
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