今年度は、最後の年なので、中国系、イスラーム系それに日系ブラジル人を加えた三つのエスニシティの児童・生徒の不登校を中心に研究した。一番新しいデータで現在日本の公立学校には、日本語教育の必要な生徒が、5235校にわたり合計1万8432人いるが、年々彼らの不登校問題が顕在化しつつある。しかもその理由も、一様ではない外国人を地で行くように多様であり、それぞれの出身国に応じたケアが必要とされている。3つのエスニシティ研究より得られたドロップアウトの原因の主なものは、次の通りである。一番大きな理由の1つは、いじめである。日本語が話せなかったり、皮膚の色や日本人と異なる作法を理由に仲間はずれにされる例が多い。言葉が不自由な背景には、日本の学校がいまだに体系的に日本語の学習を行っていないことが多く、これは学校、ひいては日本の外国人受け入れ策の貧困を物語る。2つは、日本的管理への嫌悪である。これは日系ブラジル人児童・生徒によくみられる。服装や持ち物に対する細かな規則を嫌がり、学校に対する反感を強めている。3つは、同じく日系人に顕著なのは給食が嫌いなことである。日本食は甘くて食べられず、にもかかわらず日本の学校は皆と同じことを生徒に強制するので、それを免除される彼らを児童・生徒がずるいと「無視」するのである。4つは、勉強がきつ過ぎることである。その他日系人の場合は、学校に行かなくても16歳を過ぎれば働くことができるため、父母があまり卒業にこだわらないことも逆に不登校を増やしている。イスラーム系では、イラン、バングラデシュ、インドネシア出身者に超過滞在者が多く、通告を恐れて一部の父母に子どもを学校にやらない例がみられる。これは、次世代の教育を考えると看過できない問題を含んでいる。3年間の研究の結論としては、不登校児童・生徒が年々増えている中でこれをどう変えれるかが最も重要な課題である。
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