最終年にあたる平成12年度は、国内外の「女中」に関する文献の収集・整理とまとめをおこなった。本年度は、昨年度に引き続き、女中の教育に力を入れていた戦前期のわが国最大の婦人団体「愛国婦人会」の社会事業に関する文献を集中的に集めるとともに、「女中と家事労働」という視点からも文献収集をおこなった。 こうした作業を通して、(1)愛国婦人会が1920年代に、都市の女中難を緩和する策として、女中を対象とした無料の夜間女学校を設立したこと、(2)同会が1930年代には、農村救済策のひとつとして、農村子女を都市へ女中として送り込む活動を組織ぐるみでおこなっていたこと、(3)戦後も高度成長期の初めごろまでは、都市と農村の生活のレベル差が大きく、女中養成のための機関や教育プログラムが存在していたことなどが明らかになった。これらの成果は、2001年1月13日に開催された家族動向研究会(代表山根真理愛知教育大学助教授)公開シンポジウムで口頭発表(演題:「女中の歴史と家事」)するとともに、2001年3月発行の『関西国際大学研究紀要』第2号に論文(タイトル:(「愛国婦人会の〈女中〉をめぐる社会事業--両大戦間期を中心に」(関西国際大学『研究紀要』)としてまとめている。 なお、3年間の最終的な研究成果は、平成13年度中に、研究代表者の単著(『〈女中〉イメージの生活社会学』世界思想社)として公刊する予定である。
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