平成11年度は、主として、ウーンデッド・ニー敗北以降の被抑圧の歴史、ゴーストダンスを中心とした精神活動、アメリカ連邦政府の対応に関する図書および資料の収集を行い、現在も継続してそれら資料を整理、分析中である。ことにゴースト・ダンスに関しては、その運動としての広がりが明確になりつつあるが、パイユート族の創始者ウォヴォカの託宣が、他部族に伝搬し援用されてゆく過程で、少なからぬ変容がおきたことが明らかになった。本研究の中心対象であるスー族においては、この運動がことに積極的に取り入れられ、そのことが政府当局に不穏な動向と解釈されたため、政府のこの運動に対する不必要な介入を招いたこと、またウンデット・ニーの虐殺の悲劇にまで発展した事実関係が明確に捉えられた。 本研究の成果の一部はすでに発表論文に織り込まれているが、平成12年度中には、総合的な成果をまとめて、アメリカ合衆国国立スミソニアン自然史博物館で研究員チェザレー・マリノ氏の主催する研究会で発表する予定である。そこでの論評を受け、さらに検討した結果を、パソコンから印字して簡易製本をなし、当該時期に協力していただいた諸機関及び研究者に配布して研究成果を共有したい。 なお、パソコンの利用に関しては、データ・ベース化とクロス・レファランス、アメリカ本国の研究者との資料交換などに活用されるばかりではなく、日本におけるラコタ族関係の書誌を作成する試みも促進し、これもパソコンから印字したものをそのまま版下として簡易製本をなし、当該時期に協力していただいた諸機関及び研究者に配布して研究成果を共有することは言うまでもない。
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