研究概要 |
1.古代・中世遺跡出土遺物の調査・研究 (1) 奈良県藤原京跡・平城京跡をはじめ,宮城県多賀城跡,福岡県大宰府史跡などから出土した動植物遺体や木簡を検討し,古代の食材と産地について調べた。 (2) 広島県の草戸千軒町遺跡や尾道遺跡,神奈川県鎌倉市街地遺跡,福井県一乗谷朝倉氏遺跡,京都府京都市街地遺跡,大阪府堺環濠都市遺跡出土の動植物遺体や木簡ならびにトイレ遺構を検討し,中世の食材と流通について調べた。なお,いずれの地域でも動物遺体がかなり出土しており,中世に肉食が盛んに行われていたことが確認され,堺環濠都市遺跡では他遺跡と異なって鳥類の骨がかなり出土しており,そのあり方が注目された。 (3) 関連するものとして近世の事例を調査した。大坂城下町の魚市場と考えられる地点で出土した木簡や魚骨から流通と消費の一端が明らかになった。 2. 文献史料・絵画史料の調査・研究 (1) 『平安遺文』収録された食材ならびに食文化関係史料の収集を行った。 (2) 『兵庫北関入訟納帳』をもとに,室町時代の食材と流通について検討した。 (3) ルイス・フロイスの『日本史』をもとに,外国人から見た安土桃山時代の食文化のあり方を検討した。 (4) 絵画史料に描かれた食事の場面を集成し,調理ならびに宴・贈答について検討した。 3. 伝世食器の調査・研究 (1) 銚子・提子・瓶子や太鼓樽など伝世酒器の調査を行い,考古資料との比較を行った。
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