今年度は、下記1〜3の事項を実施した。 1.京阪式アクセント・データの再整理:研究代表者自身による過去の研究データ(28人×約2500語)をデータベース化するために、データをテキストファイル化し、データベースソフト用に変換するための加工作業を行なった。 2.小学生の自然談話の採取:調査を意識させない場面で、小学生4名の日常談話を採取(一部録音)し、語レベルでのアクセントの実態について調査した。語彙表を用いた資料ではないので、個人ごとのデータであり、比較までは行なっていない。 3.大学生の共通語読み調査 京阪式アクセント地域出身の大学生23名を対象に、ある小説の一節(800字程度)を共通語を意識させた上で朗読させる実験を行なった。調査の性格上、放送・演劇等共通語を使用もしくは意識している者は除外した。 京阪式アクセント地域で生育した者が、ある程度までは共通語アクセントを使用できることの確認は、本研究の出発点であった。小学生から30代ぐらいの年代では、かなりのレベルに達することを確認した。ただし、個人差が大きく、共通語アクセント顕在化の要因解明には、家庭環境(テレビとの接触度等を含め)や心理的要因の詳しい分析が必要である。共通語アクセント顕在化と共通語アクセント化の峻別のみならず、顕在化に大きく影響を及ぼす要因について、更に調査が必要である。
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