• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

英語統語解析にもとづいた言語の脳内処理に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 10871063
研究機関慶応義塾大学

研究代表者

大津 由紀雄  慶應義塾大学, 言語分化研究所, 教授 (80100410)

キーワード言語の脳科学 / 統語解析理論 / 結合 / 隣接結合の原則 / 韻律的要因
研究概要

統語解析理論は、脳波や脳画像などの資料を解釈する理論を構築するうえで、重要な役割を果たす.今年度の研究では、統語解析における結合の一般原則に関する検討と実験を行った.結合(association)とは、統語解析の過程ですでに構築された統語構造と新たに生じた統語構造を一つの統語構造にまとめる作業を指す.今回提案した原則は、
(1) 結合は隣接した構成素同士でのものが最適である.
である.これを隣接結合の原則(Adiacency Association,AA)と呼ぶ。この原則はJohn Kim ballによる右結合(Right Association,RA)の原則を包含する.しがし、RAとは異なり、日本語のような左枝分かれ構造を持つ言語の解析過程においても正しい予測をする.たとえば、
(2) 若い男の妻
で、優先される読みは
(3) [[若い男]の妻]
であるが、それはAAによって正しく予測される.
言うまでもなく、現実の文理解の過程では、さまざまな要因がさまざまな形で相互作用する。韻律的要因もその一つで、たとえば、(4)においては(5)が優先される読みであるが、それは韻律的要因がAAを凌駕することによって引き起こされると考えられる.
(4) たいそう若い男の妻
(5) [[たいそう若い] [男の妻]
AAが結合の一般原則として機能するのであれば、少なくとも部分的には、絶対的に普遍的な(つまり、パラメータ的ばらつきを許容しない)解析原則が存在することになり、その意味するところは大きい.
AAについては、まだ明示的な部分が多く残されているが、基本的な方向は誤っていないと考えられる.来年度の主な課題はAAの更なる明示化である.

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 大津由紀雄: "Elman Netに関する覚書." 慶應義塾大学言語文化研究所紀要. 第30号. 241-247 (1998)

  • [文献書誌] Otsu,Yukio: "A functional MRI analysis of comprehension processes of Japanese sentences," NeuroReport. 9. 3325-3328 (1998)

  • [文献書誌] 大津由紀雄: "言語の獲得と喪失." 岩波書店, 191 (1999)

URL: 

公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi