研究概要 |
本年度は、昨年度に引き続いて演劇学関係の基礎資料、メディア社会学関係の基礎文献、および芸術学の文献を引き続き購入するとともに、昨年度購入した文献資料および収集したビデオ資料を分析し、学会等で論文発表を行った。本年度の研究の中心は、フォルクスビューネの演出家フランク・カストルフの演出傾向の特徴の分析である。その成果は、7月のシドニーでのシンポジウム「A Decade of German Literature,1989-1999」で発表した「Frank Castorfs Inszenierungen - Theatralische Herausforderung oder zuruck zur alten DDR-Identitat」に結実している。そこでは、カストルフの演出の特徴を浮遊する記号の暴力的切断と定義し、ここにカストルフのポストモダニズム批判が顕著に現れれるという結論を論じた。また、本研究から派生する演劇の東西比較研究では、8月に日本独文学会主催アジア地区ゲルマニスト会議で研究発表を行なった。そこでは、ドイツの劇作家ハイナー・ミュラーの「ハムレット・マシーン」を日本の演出家岡本章が演出したヴァージョンを分析し、アメリカの演出家ロバート・ウィルソンの演出を比較分析して発表した。
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