本研究の2年目は、1年目に収集したデータの分析及び追加データの収集とその分析に力を注いだ。成果は、研究論文2点にまとめられたが、一本目と二本目は基本的には同じ視点で執筆したものであり、二本目は一本目のデータを量的・質的に強化・拡充したもので、より客観的な分析を行った。二年目までの研究の成果で明らかになった点は、1)日本語から翻訳された英文社説の全てが英米の社説より理解しやすいとは限らないこと、2)文法性、明瞭性、自然さ、組立の4点について日本語から翻訳された英文社説の評価を、英語母語話者106人に行ったところ、翻訳英文の欠陥が多く指摘されたこと、3)日本人英語学習者(大学生443人)が読みやすいと評価した翻訳英文が、英語母語話者には最も困難であり、反対に英語母語話者が、最も明瞭と判定した英文が、日本語母語話者には必ずしも明瞭ではないことが分かったこと、の3点である。これらから得られる結論は、英字新聞を教室で使用する際又は学習者に英語学習を目的として、英字新聞の購読を勧める際において、翻訳英文については慎重な取り扱いが必要であるということである。その他の教育的扱いについては、裏面に記載の二論文の中で論じている。三年目に向けた今後の扱いについては、収集したデータを他の角度から再分析し、翻訳英文の有効な活用について探求したいと考えている。また、データの追加を行い、結果の信頼性を高める努力もしてみたいと考えている。
|