研究課題/領域番号 |
10872001
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
奥田 安弘 北海道大学, 法学部, 教授 (20135776)
|
研究分担者 |
早川 眞一郎 東北大学, 法学部, 教授 (40114615)
|
キーワード | イタリア国際私法 / 反致 / 外国国際私法の調査 / 渉外事件の処理プロセス / 外国法の内容不明 / 外国法の調査方法 / 外国法情報交換条約 / 外国法の適用違背 |
研究概要 |
今年度は、引き続き、代表者(奥田)が反致における外国国際私法の適用を研究し、分担者(早川)が外国法の内容不明および適用違背の処理を研究した。 まず反致については、イタリア国際私法が伝統的に反致を全面的に否定しており、1995年の改正法により初めて反致を認める規定(13条)を置いたため、イタリアの判例を十分に調査することはできなかった。ただし、1995年の改正法については、1989年・1991年・1993年の草案までは従来の反致否定主義を維持していたのに対し、最終段階において急遽、かなり広い範囲で反致を認める規定を置いた点が注目される。とりわけ本研究との関連では、外国国際私法の適用により渉外事件の処理プロセスがどのように変化するのかという観点から、立法資料を収集・分析した。一方、わが国では、中国人の相続について、中華人民共和国の国際私法が不動産所在地法である日本法を指定しているとして反致を認めた最高裁判決(平成6年3月8日)があるが、中国国際私法の調査・適用に多数の問題があることが明らかとなった。つぎに外国法の内容不明については、最近の日伊両国の判例とも、問題となったケースは少ない。これは、外国法の調査方法が進歩したためである。とりわけイタリアは、1995年改正法に外国法の調査方法に関する規定を置き(14条1項後段)、また外国法情報の交換に関するヨーロッパ条約に加盟している。そこで改正法の立法趣旨や条約の実施状況を調べることにより、イタリアにおける外国法の調査プロセスを明らかにすることができた。また外国法の適用違背については、日伊両国とも、これを上告理由とすることがほぼ確立しているが、イタリアでは最高裁(破棄院)判決が多数出ており、そこから上告審における外国法の適用違背に関する処理の実態を明らかにすることができた。
|