研究課題/領域番号 |
10873003
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西條 辰義 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (20205628)
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研究分担者 |
吉原 直毅 北海道大学, 経済学部, 助教授 (60272770)
下村 研一 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 助教授 (90252527)
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キーワード | GHG排出権取引 / Bilateral Trading / Double Auction / 競売買 / 完全補完性 / 配分の公平性 / 手続き的公正性 / 民主主義的意思決定プロセス |
研究概要 |
GHG排出権取引制度の研究。GHG排出権取引の為のメカニズムとして、Bilateral TradingとDouble Auctionの2つのメカニズムを実験で検証し、締結された価格の開示、非開示に関らず、両メカニズムの効率性は極めて高い事、両メカニズムにおいて限界排出費用は時間を通じて等しい事、第三に、締結された価格はDouble Auctionの下では時間とともに競争均衡価格に収束していくのに対して、Bilateral Tradingにおいては必ずしもそうならない事を明らかにした。 多数財競売買の実験。一般均衡理論では、財の間に「完全補完性」が存在する場合、市場の取引価格は永久に競争均衡に到達しない現象が理論上生じうる事を示している。その理論が実験によっても裏付けられるかを明らかにする為、3種類の財の競売買の実験を3回行った。各被験者に消費財が「完全補完性」を有する効用関数を与え、回数ごとに財の可分性を高めていった結果、「商品の補完性と可分性が全体として高まれば、競売買においては稀少な商品の価格変動が不安定になるのではないか?」との予想を得るような結果が生じた。 公正な配分ルールの社会的決定の理論分析。「配分の公平性」に関する従来の研究が、帰結主義的な評価基準にのみ基づいて為されてきているのに対して、配分ルールの手続き的特徴の公正性にも評価基準を設定する理論分析を行った。配分ルールの手続き的公正性に関する評価基準は社会的に決定されるものとし、その社会決定プロセスが民主主義的な意思決定プロセスとしての特徴を有するとき、いかなる条件の下で、個人の自由を保証する手続き的特徴を有する配分ルールであって、公平な配分を導けるルールを選択できるかを明らかにした。
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