金融自由化ないしビッグバン(金融システム改革)が実施されることによって、保険とは何かを論じることが、決定的に重要になってきている。しかし、ドイツやわが国を始めとして、多くの国の保険学会において、古くから保険の本質について議論されてきたが、ドイツ以外の国では、未だ統一概念が存在しない。 本研究の目的は、保険とは何かについて、経済学の観点から再アプローチを行なうことであった。本研究の研究期間は2か年であるが、初年度である平成10年度には、次の順次にしたがって、研究を進めた。 (1) 保険の本質に関する従来の諸研究のレビュー (2) 他の金融商品(預金、株式等)の本質に関する従来の諸研究のレビュー (3) 保険業に関する政府規制についての諸研究のレビュー (4) 保険種類別の販売実績等に関する実証研究のための統計的資料の収集・整理 以上の研究から、保険とは何か、保険規制はいかにあるべきかについて、基礎的な研究を実施することができた。とりわけ、これまでの諸研究においては、ほとんど「自由の理」であると考えられできた保険の本質としての「保障」概念に基づくのではなく、他の金融商品と同様に「貯蓄」概念を用いることによって、保険と保険業を分析することが、保険研究にとって重要であることが明らかになった。 次年度は、「貯蓄」概念に基づく保険の本質を明確にするとともに、保険業に対する政府規制のあり方について、まとめる。
|