わが国では、企業における重要な投資決定の権限を社内の事業部門に大幅に与えている会社では、事業部門ごとに資産や負債や自己資本を明らかにする貸借対照表を作成させ、さらに事業部門ごとに(仮想的な)社内的な資本金を設定している(欧米にはこのようなシステムはまだ存在しない)。また本社が社内の事業部から使用資本に対して利息を取るような会社が最近増えてきた。これが社内分社制と呼ばれている。このような日本企業の独自な分権的管理システムのメカニズムを欧米のシステムと比較しながら究明することが本研究の目的である。 本研究は、平成10年度からの3年間にまたがるが、その最終年度である平成12年は次のことを行った。 (1)事業部制と分社制における社会的業績評価指標が財務的業績に及ぼす影響の研究 (2)社内資本金制度と社内金利制度の章を含む著書の脱稿(平成13年5月出版予定) (3)グローバル企業集団の事業別・地域別の業績評価システム (4)花王と松下電器の経済的利益(EVA)のシステムの比較研究 (5)社内資本金制度とEVAのシステムとの比較研究 (6)財貨とサービスの調達における本部集中制、事業部制および分社制の比較研究 (7)日本管理会計学会の研究部会のひとつとして、「組織構造と管理会計」研究部会を設立した。
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