研究概要 |
リーマン面のモジュライ空間の算術的な基本群,それはモジュライ空間のorbifoldとしての幾何学的基本群,すなわち写像類群を副有限完備化したものによる有理数体の絶対ガロア群のある拡大となる.一方,写像類群を近似するある次数付きLie代数から,曲面の基本群のMalcev完備化の微分で,シンプレクティック元を消すようなもの全体のつくる次数付きLie代数への,Johnson準同型と呼ばれる自然な射がある.上記算術的な基本群の幾何的な部分と数論的な部分は,それぞれ(位相的な)Johnson準同型の像と余核に現われることがわかっている.本研究はこれら両者の関係をトポロジーの立場から解明することを目指している.本年に実行した研究を具体的に記すと,つぎのようになる. 1. 次数6の場合にGalois元をコード図によって具体的に記述した.また種数2,1の場合の退化の様子も完全に決定した. 2. コンピューターによる実験的計算の範囲を広め,次数10の場合の様相に関するデータを集め出した. 3. 一般の次数4k+2の場合のトポロジー,数論双方の立場からの理論的考察を進めた.
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