研究分担者 |
河津 清 山口大学, 教育学部, 教授 (70037258)
富崎 松代 奈良女子大学, 理学部, 教授 (50093977)
柏木 芳美 山口大学, 経済学部, 助教授 (00152637)
柳原 宏 山口大学, 工学部, 助教授 (30200538)
加藤 崇雄 山口大学, 理学部, 教授 (10016157)
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研究概要 |
与えられた種数有限の印付き開リーマン面Rを等角に埋め込むことのできる同種数の閉リーマン面の全体Mは,タイヒミュラー空間Tの部分集合である.この集合Mを双曲的長さや極値的長さで記述することを試みた.種数が1より大きい場合,Tの元Sには双曲計量が入り,SがMに属せば,すなわち,RがSに等角に埋め込まれれば,Sの各双曲的閉測地線の長さは対応するRの双曲的閉測地線の長さを上回らない.しかし,逆は必ずしも成立しないこと,すなわち,この長さの大小関係が成立していてもRはSに等角に埋め込まれるとは限らないことを示した.種数が1の場合でも,Tとして,トーラスから一点を除いた面のタイヒミュラー空間を考えれば,同様の結果に到達する.一方,極値的長さに対しても,同様の不等式が成立する.RがSに等角に埋め込まれれば,Sの(弱)ホモロジー類の極値的長さは対応するRの弱ホモロジー類の極値的長さを上回らない.種数が1の場合,双曲的長さとは対照的に,逆も成立することを示した.特に,Rが種数と境界成分の個数がともに1である場合,ホモロジー類をホモトピー類に置き換えることができる.双曲的長さと極値的長さはよく似た性質を持っているが,ここでは,際だった違いを見出すことに成功した. この他に,柏木は,一昨年に橋本寛が発表した論文において示されたり引用されているブール行列に関する様々な性質を,シュレーダー同値を応用して,すべて関係代数的に証明した. また,富崎は,1次元拡散過程の到達時刻に関する極限定理を与え,河津はある種のブラウン運動の不変原理を論じた.
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