研究概要 |
圧縮性および非圧縮性流体の運動を記述するNavier-Stokes方程式の定常問題および、非定常問題の解の漸近挙動の解の理論的、数値的解析についての研究を次の場合に行った。 (1)Oldroyd型のNon-Newtonian fluidの研究を始めた.R^nにおける場合に定常問題の解の漸近挙動に関し,最良な結果を得ることができた.線形化方程式においては通常の方法では,derivative lossが起こる形をしており,可解性自体が問題である.重みつきのL^2空間で方程式を考え,エネルギーレベルでderivative lossが解消されることを巧みな部分積分を繰り返すことで示すことにより,線形化問題の可解性と解の漸近挙動を示し,さらに通常の不動点定理に持ち込むことで,非線形問題の可解性を示した. 外部領域などのもっと一般的な場合での研究を進めるため,漸近挙動の第一項までを取り組んだ,いわゆるdetached asymptotics付きの重み付き空間での楕円型方程式の解析に関するレビューを,その世界的権威であるSanktPetersburg大学のNazarov教授に早稲田大学理工学部において行っていただいた.これを発展させる方向で,幾つかの問題の解の漸近挙動の解明を来年度引き続き行う. (2)境界要素法を境界近くと無限遠の仮想境界において用い非圧縮性性流体の外部問題の解の数値的解明を行うため、Lisbon大学のSequera教授のグループとの協同研究を引き続き行った.しかし,理論的な部分では完成をみたものの数値的には満足な結果を得るには至らなかった.残念ながら,本格的には別のプロジェクトを組むべきであるという雰囲気である. (3)昨年度行った,半空間でのStokes作用素のL^p評価やSchauder評価に,さらにBesov空間での補間空間論などの実解析的技法を加味し,Navier-Stokes方程式やGinzburg-Landau方程式のL_p理論に新しい側面を開発した.さらに,流体における2相問題に関し,Solonnikov-Denisova理論では解明できていない部分についての解析も始めた.
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