研究概要 |
1.平面上に自由境界をもつ安定な平均曲率一定曲面が半球面に限ることを証明した。詳しくは次のとおりである。IIをR^3内の平面とする。II上に境界をもつコンパクト曲面であって,与えられた体積をもつものの中での面積汎関数の臨界点をIIに対する停留曲面と呼ぶ。停留曲面は平均曲率一定であり,境界ではΠと直交する。停留曲面χが安定であるとは,χと同じ体積をもち,II上に境界をもつ曲面の変分に対して,面積汎関数の第二変分が非負であるときをいう。本研究では,安定な停留曲面は半球面に限ることを証明した。証明は,停留曲面χが半球面でない場合には,χの支持関数に定数を加えたものを用いて得られる体積を保つ法方向の変分が,面積を減少させることを示すことにより得られる。 2. 与えられた境界をもつ平均曲率一定曲面が一意的であるための,境界及び曲面の大きさに対する十分条件を求めた。すなわち,3次元ユークリッド空間内の単一閉曲線族Hと実数Hが与えられたとき,Γで張られるコンパクトな平均曲率一定Hの曲面(以下,CMC-H曲面と呼ぶ)であって『良い』性質を持つものは一意的であるかどうかという問題がある。本研究では,「Γで張られる『あまり大きくない』CMC-H曲面は一意的であるか?」という問題について研究した。まず,この問題に対するさまざまな既知の結果の本質的な部分を統一的に包含する「Inclusing Principle」の一般的な形を得,さらに,それを用いてΓが平面凸曲線への1対1直交射影をもつ場合について,Γで張られる『あまり大きくない』CMC-H曲面が一意的であるためのΓに対する十分条件を得た。
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