研究概要 |
今年度は主として以下の研究を行なった. (1) 隕石中で発見されたTiC core-graphitic mantle spherulesの炭素星星周領域での生成条件. Murchison隕石中から抽出されたTiC core-graphitic mantle spherulesは,その構成元素の同位体組成から炭素星起源と考えられている.非平衡凝縮理論に基づいて,TiCとgraphiteの凝縮順序だけでなく,観測されたTiC coreとgraphite mantleのサイズをも拘束条件として,隕石中で発見されたTiC core-graphitic spherulesの形成場所でのC/O比は1.2-1.47以下,全ガス圧力P_tは2×10^<-3><P_t<0.1dyn cm^<-2>の範囲になければならない事を明らかにした. (2) 凝縮時の化学反応を考慮した核生成率の定式化. ダスト形成に関与する気体分子のうち最も衝突頻度の小さな分子種が生成のkineticsを規定するとの仮定のもとに,一般的に凝縮時の化学反応の効果を考慮した定常的核生成率を導出した. (3) Oxygen-rich AGB星星周領域での結晶質シリケイトの起源. 最近の宇宙赤外線天文台による観測は従来の常識を覆してoxygen-rich AGB星星周に結晶質シリケイトが存在することを明らかにした.Oxygenn-rich AGB星星周領域での結晶質シリケイトの起源を明らかにするために,均質なAl_2O_3とシリケイトダストだけでなく先に凝縮したAl_2O_3を核としシリケイトのマントルで覆われた不均質ダストの形成と,形成後の結晶化の素過程を考察し,均質なシリケイトダストは非晶質であるが,星からの質量放出量が3×10^<-5>M_<【of sun】>yr^<-1>以上であれば,不均質ダストのマントルシリケイトが結晶化することを示した.
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