• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2000 年度 実績報告書

森林の林冠ギャップ空間分布の統計物理的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10874057
研究機関中央大学

研究代表者

香取 眞理  中央大学, 理工学部, 教授 (60202016)

キーワード森林動態 / 林冠ギャップ / イジングモデル / パーコレーション / 相関等式 / 森林火災 / フレンドリーウォーク / 濡れ転移
研究概要

1.森林総研の田中浩氏から提供していただいた小川森林保護区の航空写真による実測データに対して,我々が開発したイジングモデルによる解析方法を適用した.その際,パラメータを決定する新しい方法として,熱平衡状態で成立する相関等式を用いる方法を考案した.実際にこの方法を小川森林保護区の実測データの解析に応用すると,これまでのモンテカルロ法による方法ではパラメータを決定できなかった1991年のデータに対しても,パラメータを決定することが出来た.
2.小川森林保護区の実測データでは,林冠ギャップの有無という2値のデータだけではなく,各サイトでの樹林の最高値が与えられている.このため,林冠ギャップと林冠とを分けるしきい値を変えた場合に,林冠ギャップ・クラスターの統計性がどのように変わるかを調べることも可能である.従来のモンテカルロ法によるパラメータ探索では,しきい値を変えるごとにモンテカルロ・シミュレーションを行わなければならなかったため,系統的なデータ解析は困難であった.しかし今回,熱平衡相関等式を用いる方法が出来たので,しきい値を変えて系統的に調べることが出来た.結果として,しきい値の選び方に依らず,決定されたパラメータはどれもイジングモデルの臨界値に近いものであった.
3.森林動態に対する別の数理モデルとして,ある種の森林火災のパーコレーションモデルを提案し,計算機シミュレーションを行なった.そして,森林モデルで臨界性が実現される極限として知られているDrossel-Schwabl極限について考察した.
4.有効グラフ上のパーコレーションの問題は,森林動態や伝染病伝播の問題の基礎モデルを作る上で重要である.この問題に対して,Arrowsmith-Essam公式と呼ばれるグラフ展開を拡張することが出来た.それにより,いわゆるフレンドリー・ウォークと呼ばれる相互作用する粒子系の統計力学を構成し,この系は高分子や,多成分流体系の「濡れ転移」のモデルと関連深いことを示した.

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] M.Katori,N.Konno,H.Tanemura: "Survival Probabilities for Discrete-Time Models in One Dimension"Journal of Statistical Physics. 99・1/2. 603-612 (2000)

  • [文献書誌] M.Katori: "Percolation Transitions and Wetting Transions in Stochastic Models"Brazilian Journal of Physics. 30・1. 83-96 (2000)

  • [文献書誌] N.Konno and M.Katori: "Extension of the Arrowsmith-Essam Formula to the Domany-Kinzel Model"Journal of Statistical Physics. 101・3/4. 747-774 (2000)

  • [文献書誌] N.Inui and M.Katori: "Fermi Partition Functions of Friendly Walkers and Pair Connectedness of Directed Percolation"Journal of the Physical Society of Japan. 70・1. 1-4 (2001)

  • [文献書誌] T.Takamatsu and M.Katori: "Analysis of canopy-gap structures of forests by thermal equilibrium correlation equalities"Trans.of MRS-J. 26(掲載決定). (2001)

  • [文献書誌] T.Takamatsu and M.Katori: "On the Drossel-Schwabl limit in a forest fire model"Trans.of MRS-J. 26(掲載決定). (2001)

URL: 

公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi