研究概要 |
オービタルの可視化の研究例は国内外に多く報告されているが,アニメーションを利用した例はほとんどない.さらに,4次元以上の高次の系に適用した例は皆無である.通常の3次元の原子オービタルの可視化については,これまで多くの研究が報告されている.しかし主量子数n=3までの可視化が大部分で,一部にn=4の報告がなされているにすぎない.平成10年度には,n=6までのオービタルのアニメーションを含めた新しい可視化技術を研究し,4次元映像の可視化の基礎研究を行った.この結果,以下の成果が得られた. (a) オービタルの波動性と力学的振動の対比を,静止画とアニメーションによるイメージ化によって実現した(1次元〜3次元).これらの映像により,2次元の波動の影が1次元の波動に対応し,3次元の波動の影が2次元の波動に対応することを可視化した. (b) オービタルの断面における関数値の表現方法について,種々の角度から研究した.たとえば,等高線図と見取図(擬3次元表示)を2つのXY平面上で同時に表示し,1つのX軸を中心として回転アニメーションを行ってこれらの相互関係の理解を容易にする表現法について研究した. (c) オービタルの等値曲面の回転アニメーション表示を行った. (d) 4次元映像の描画法として,原子軌道の角部分を描画する新しい方法について検討した. 以上の研究結果の一部を化学ソフトウェア学会年次大会(新潟大学)において発表するとともに,インターネット上で公開した.
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