分子組織体-微小電極インターフェース

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10874095
• 研究機関: 北海道大学
• 研究代表者: 中村 貴義 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (60270790)
• 研究分担者: 芥川 智行 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (60271631) ; 長谷川 達生 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (00242016)
• キーワード: 分子性導体 / 微小電極 / 分子素子 / LB膜 / 単分子膜

研究概要

1. 導電性分子組織体の構築
LB法を用いて微小電極上に導電性超薄膜を形成することを目標に、新たな導電性薄膜の開発を行った。BEDO-TIF・CF_3TCNO銘体、Au(tmdt)_2錯体およびTTF-macrocycles誘導体を用いて導電性を有するLB膜を作製した。これらの銘体を用いて、単分子膜あるいはLB膜を構築した。
2. LB膜分子組織体の構造・電気物性評価
得られた分子組織体について、スペクトル測定から、電子状態について評価した。いずれの場合も、累積直後あるいは酸化処理により、部分電荷移動状態が達成されていることが明らかとなった。またAFMにより構造評価を行った。現在、電流同時測定AFMにより、膜のモルホロジーと微小領域の電気伝導性との関連について評価を進めている。また、それぞれの膜について、電気伝導度の温度依存性を測定したところ、Au(tmdt)_2錯体LB膜については半導体的あったが、他の膜については金属的な電気伝導性が確認された。特に、TTF-macrocycles誘導体LB膜においては、液体ヘリウム温度までの金属性が観測されたため、現在その再現性について確認を急いでいる。
3. 微小電極の構築
これらのLB膜とのインターフェースをとるための微小電極の開発に着手した。フィンランドの中央技術研究所のグループと協力して、現在電極幅100ミクロン程度の電極を作製している。今後、この電極の上に電気伝導性LB膜を作製して、そのインターフェース特性等を評価する予定である。

研究成果

• [文献書誌] T.Nakamura: "Electrical Conduction in Monolayers and LB films of BEDOTTF-C_<10>TCNQ/Arachidic Acid Mixed System" Thin Solid Films. 327. 450-453 (1998)
• [文献書誌] T.Konuma: "Charge-Transfer lnteractions and Nonlinear Optical Properties of Tetrathiafulvalene-based Langmuir-Blodgett Films" Thin Solid Films. 327. 348-352 (1998)
• [文献書誌] K.Ikegami: "Preparation of Langmuir-Blodgett Films Containing a Charge-Transfer Complex of Alkylated Dicyanoquinonediimine (DCNQI) and Copper" Jpn.J.Appl.Phys. L550-L552 (1998)
• [文献書誌] K.Ikegami: "Possible Low-Temperature Phase Transition of Langmuir-Blodgett Films of a Charge-Transfer Complex Detected by ESR" Thin Solid Films. 327. 391-394 (1998)
• [文献書誌] T.Nakamura: "Electrical and Nonlinear Optical Properties of Langmuir-Blodgett Films of Charge Transfer Complexes" Mol.Cryst.Liq.Cryst. (in press).
• [文献書誌] T.Yumoto: "Langmuir-Blodgett Films of BEDD-TTF・CF_3TCNQ" Synthetic Metals. (in press).
• [文献書誌] K.Ikegami: "Optical Characterization of Lanqmuir-Blodgett Films of AlkylDCNQl and AlkylDCNQl-Cu Complexes" Synthetic Metals. (in press).