研究概要 |
本研究課題で今年度得られた成果を以下に示す。 (1) 高配位マンガンおよびクロム化合物の反応性の解明と新規高配位マンガン、クロム他反応剤の創製と合成に関する研究を行った。 (a) 下記反応系を用いて高配位マンガン、クロム中間体(M=Mn,Cr)を得、その構造と反応性の関係を明らかにする努力を行った。 (b) 高反応性高配位マンガン、クロム、バナジウム反応剤の創製とその反応の高次制御を行う。アリルアニオン、ヒドリドイオン、ビニルアニオンなど高反応性活性種の等価体として高配位遷移金属化合物を設計合成した。 (c) 有機クロムアート化合物を用いる還元的メタル化反応を達成した。 (d) 有機クロムおよび関連アート反応剤による不斉還元、アルキル反応およびジアステレオ選択的反応を見つけた。 また、中心金属N=MnCr,V)、配位子、反応系の効果を検討し、さらに新しい還元剤の開発を目指した。 (2) サマリウム外希土類金属カルベノイドの新規生成と反応性の解明および新規1,3-脱離反応による非安定化Tailor-madeカルボニルイリドとその関連活性種の生成と反応に関する研究を行った。 既知の方法で生成するカルボニルイリドは構造を安定化する置換基や官能基を有するものに限られており、これらの反応性には電荷が分離した性質が強く反映してくる。真のカルボニルイリドの性質を知るために下式に示した1,3-脱離反応によるカルボニルイリドの生成法は有力な手段となる。母体のカルボニルイリド(3)を始め、この研究により生成するカルボニルイリドには構造上の制限がなくなるので、これらの反応性の全容を解明することも可能となる。金属によっては“l.3-dipolaroide"としてカルボニルイリドの反応性を制御できる可能性もあるため、用いる金属と生成するカルボニルイリドの反応性の関係についても検討した。 (3) ビニルシランの新規酸触媒環化反応と含酸素環状化合物の高立体選択的合成反応を開発した。 (4) アリルスタニル化やアリルシリル化などラジカル反応を用いる新規萌芽的研究を行った。
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