ミヤコグサの遺伝解析と遺伝子地図作成における問題点を解決する新たな系統の発見 現在世界に広まっているミヤコグサはGifu B-129であるが開花に多くの日照を必要とし遺伝解析おいて屋外型の大きな環境調節装置を必要とする。またミヤコグサの染色体地図は、Gifuと交配可能でかつ多くのDNA多型をもつパートナーが確定していなかったため、ほとんど描かれていないに等しい状況である。そこで当研究者は、日本各地のミヤコグサを集め、その中からまず室内で容易に開花・結実するエコタイプを探索した。その結果沖縄県宮古島で採集したものMiyakojimaは、Gifuと異なり実験室内の簡易な人工気象器で播種後5週間で花芽をつけ、2カ月で最初の完熟種子が回収されるという形質を有していることを見いだした。さらに、このエコタイプはGifuとAFLP解析でおよそ10%の多型を示し、日本に自生する他の系統よりも際だって多くの多型を有していた。宮古島のエコタイプはGifuと交配可能であった。以上のことから将来的な分子遺伝学的解析において非常に優れたエコタイプであると考えられる。 現在バックグラウンドの均一化のために室内で自家受粉を繰り返し5世代目にまできている。Miyakojimaには、accession numberとしてMG-20を付与した。これはここ数年集めてきたミヤコグサ(MiyakoGusa)の20番目にあたるものである。MG-20にはもう一つの思いを込めてある。それはMiyakojima MG-20を用いて、資源的に有用でかつ多くの多様性を有するマメ科植物で、はじめて室内における分子遺伝学囚(Molecular Genetics)を今世紀中に可能させようという思いである。 来年度はこの系統への簡易な遺伝子導入法を確立し、ミヤコグサのグローバルスタンダードとして世界に送り出す予定である。
|