研究概要 |
平成10年度に行なった実験ではシアノバクテリアSyncchococcussp.PCC7942の野生型、時計遺伝子kaiCに変異を持ついくつかの時計突然変異体を利用した。まず野生型と多くの時計突変異体を混合し、恒常条件下(連続明,30C)で培養を続け、比率の変動を調査した。その結果多くの変異体は野生型と差のない成長を見せ、以下の温度サイクル、明暗サイクル下での競争実験が可能となった。次に昼夜の光環境の効果を調べるため、22時問および28時間周期の変異体と野生型を混合し、様々な周期を持った明暗サイクルを与えた。その結果、22時間の明暗サイクルで培養を続けた場合は22時間周期の変異体が、24時間周期の明暗サイクルの場合は野生型が、28時間周期の明暗サイクルの場合ほの28時間周期変異体が優勢であり、30-50世代後に培養の大部分を占めることが判った。この結果は競争環境下では概日時計による調節が生存価を高めることを示唆している。データは米国の共同研究者達も得ており、共著で論文として発表した。一方温度サイクルについては25/30Cまたは25/35Cのサイクルを用い、同様に競争実験を行った。ここではより周期の長い40時間の変異体も利用した。しがし、得られた結果には必ずしも温度サイクルと概日時計の周期には相関が見いだせなかった。。この結果は温度変化が連続明条件で与えられると傷害を引き起こす可能性を示唆しており、さらに温度サ追クル下での光条件を詳しく吟味することが必要性であろう。
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