光によるオルタナティブスプライシングの制御機構の解明のため、近年、制御因子の一つとして考えられているSRタンパク質(Serine/arginine-richprotein)に着目し、暗所下で生育させたカボチャ子葉から作製したcDNAライブラリーから、そのcDNAのスクリーニングを行った。その結果、分子量の異なるセリンとアルギニンに富んだRNA結合タンパク質をコードする2種類のcDNAクローン(pnSRp35、puSRp40)を単離した。puSRp35タンパク質は、N末端に2つのRNA結合領域をもつのに対し、puSRp40タンパク質は1つしかもたず、それぞれ、Type I、Type II SRタンパク質であることが明らかとなった。それらの種子発芽時における挙動を調べたところ、1日目で、多量のRNA及びタンパク質が蓄積し、その後、急速に減少していくこと、また、光照射により急速にタンパク質が検出されなくなることから、これらのSRタンパク質は、種子発芽の非常に早い時期に発現し、その制御機構には光が関与している可能性が示唆された。これらSRタンパク質をシロイヌナズナで過剰発現させた結果、葉の形態異常や植物個体の成長抑制が観察され、過剰発現したSRタンパク質が正常なスプライシングを妨げていると考えられた。現在、スプライシング能を調べるため、形質転換体と野生型のスプライシングパターンを解析中である。
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