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1999 年度 実績報告書

浸透圧調節に利用するイオン種からみた緑色植物と黄色植物の違い

研究課題

研究課題/領域番号 10874131
研究機関東北大学

研究代表者

片岡 博尚  東北大学, 遺伝生態研究センター, 助教授 (30108568)

キーワードイオン調節 / 浸透圧調節 / 膨圧調節 / フシナシミドロ / マリモ / 黄色植物(ストラメノパイル) / 硫酸イオン / 光屈性
研究概要

黄色植物(ストラメノパイル)に属する淡水産オカフシナシミドロ(Vaucheria terrestris sensu Gotz)の光屈性は約8Wm^<-2>で正から負に転換するが,外液に20mM程度のNaClを加えるとさらに低強度で負光屈性が起こる.一方,汽水産のV.DichotomaはNaCl濃度を増しても正光屈性のままであった.この違いは後者は膨圧回復能力があるのに対し,前者はそれがなく,下がった膨圧を回復できないことに起因すると思われる.そこで膨圧調節機構を解析するため,フシナシミドロが浸透圧調節に利用するイオン種を調べたところ,(1)両種とも,カチオンは多くのK^+と少しのNa^+を吸収するのに対し,アニオンはCl^-より遙かに多くのSO_4^<2->を吸収することがわかった.(2)比較のため調べたマリモ(Egagropira linnaei)(緑藻)は,シャジクモなどと同様に,もっぱらK^+とCl^-だけを吸収して浸透圧を制御することがわかった.そこで,SO_4^<2->の浸透圧調節への利用能力の違いが緑色植物と黄色植物を分ける形質であるかを検討した.
(3)緑藻としてシャジクモ(Chara australis)やマリモ,ネダシグサ(Rhizoclonium sp.),チョウチンミドロ(Dichotomosiphon tuberosus)など,黄色植物としてフシナシミドロや淡水の褐藻類,珪藻などを純粋培養し,同一光条件下で浸透調節に用いるイオンン分析を行った.フシナシミドロ,シャジクモおよび,いくつかのCladophora類で上の仮説を支持する結果が得られた.黄色植物はSO_4^<2->チャンネルがCl^-チャンネル多いと推測できた.今後さらに多くの黄色植物について検討を重ね,遺伝子レベルで確かめたい.また,(4)神戸大学の川井教授のグループと共同して,海産褐藻類アミジグサの仲間で硫酸を蓄積するものと,しないもののイオン組成を比較した.その結果,硫酸をためるものも,ためないものも,多量のSO_4^<2->を吸収している事実は上の仮説を支持する.

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Sasaki, et al.: "Accumulation of sulfuric acid in Dictyotales (Phaeophyceae) : Taxonomic distribution and ion chromatography of cell extracts"J. Phycol.. 35. 732-739 (1999)

  • [文献書誌] Kataoka, H.et al.: "Bimodal polarotropism of Vaucheria to polarized blue light : Parallel polarotropism at high fluence rate corresponds to negative phototropism"J. Plant Res.. 113. 1-10 (2000)

  • [文献書誌] 片岡博尚: "光シグナルトランスダクション[分担執筆]"蓮沼,木村,徳永編.シュプリンガーフェアラーク東京. 195 (1999)

  • [文献書誌] 片岡博尚: "朝倉植物生理学講座5.環境応答[分担執筆:光走性と光屈性]"寺島一郎編.朝倉書店. 未定 (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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