ダブルバリア構造における共鳴トンネル電流を従来より高精度で計算するシミュレータを開発している。本シミュレータにより、これまでに得たシリコン/シリコン酸化膜系バリア高さ、有効質量を用いて、シリコン/シリコン酸化膜系ダブルバリア構造の共鳴トンネル電流ー電圧特性を明らかにしている。共鳴トンネル分光構造を設計するために、電流ー電圧特性シミュレーションにより共鳴トンネル効果の共鳴エネルギ値のダブルバリア間伝導体厚さ依存性および共鳴エネルギ値の極薄シリコン酸化膜厚さ依存性を明らかにしている。また、極めて薄いシリコン酸化膜(トンネル酸化膜)を形成する超清浄精密制御熱酸化プロセス技術を開発している。本技術は、超清浄雰囲気でシリコンウェハの熱酸化を可能とするため、欠陥が少ない極めて薄いシリコン酸化膜の形成が可能となる。また、均一加熱が可能であるため、均質な極めて薄いシリコン酸化膜の形成が可能となる。さらに、トンネル酸化膜の高信頼性形成技術を開発するうえで重要な、シリコンウエハ昇温過程でのシリコン表面の酸化反応を明らかにしている。すなわち、酸素ガス雰囲気でシリコン表面の昇温過程状態変化を精密に制御するために、酸素ガス雰囲気下での昇温過程におけるシリコンウエハ表面の酸化反応の昇温速度依存性、酸素濃度依存性を明らかにし、昇温過程での酸化速度の温度依存性を明らかにして、トンネル酸化膜を形成するプロセス条件を明らかにしている。
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