研究概要 |
本研究の目的は、波長250〜300nm程度の紫外領域に於いて、高輝度発光半導体を研究開発し、紫外半導体レーザ実現の為の基礎的技術を開拓することである。本研究では、量子ドット構造を紫外発光半導体に導入し、ドットに閉じこめられた励起子の効果を用いて,半導体の光物性を根本から変化させることによって、高輝度紫外発光を得ることを目指している。 本年度は、はじめに、紫外の短波領域における高輝度発光材料の開発を目指し、高いアルミニウム組成の窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)あるいは窒化アルミニウム(AlN)を用いた量子井戸構造の作製を行った。量子井戸構造の最適化を行うことにより最短波長(230nm帯)における低温高効率発光を実現した。AlGaN量子井戸の高効率発光は低温のみでしか得られないので、我々はさらに、室温高効率発光を実現するため、AlGaNへのインジウム(In)導入を行った。AlGaN中でのInの組成変調による量子ドット閉じ込め効果を利用し、高効率発光実現を試みた。Inを約5%程度含む、紫外発光4元混晶(InAlGaN)の結晶成膜条件をはじめて明らかにした。In導入によるAlGaN結晶品質の向上等の効果を明らかにし、高品質4元混晶作製に成功した。それを用いて量子井戸を作製することにより320nm帯の紫外高効率発光を室温に於いて実現した。
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