現在設置しているCW発振、出力3kWのCO_2レーザを用いて合金層形成実験を行った。平均粒径16.6μmのTiO_2にNiをコーティングした複合粉末を製造し、Al基板表面に一定厚さで塗布、乾燥した後にレーザ光を各種パワー密度、エネルギ密度で線状に照射・走査し、帯状の合金層形成実験を行った。形成した層の表面あらさの測定、長手方向の断面(縦断面)とそれに直角方向の断面(横断面)から、合金層層厚さ、微小硬さ測定を行って、Ni添加の効果を検討した。その結果、TiO2やNi粉末をそれぞれ単独で塗布して合金層を形成した場合に比較して、(1)表面あらさが減少し、(2)合金層厚さが一様になり、(3)合金層の組織が一様、(4)構成元素の分布が均質になる効果が明らかとなった。示差熱分析により金属間化合物の反応過程を検討した。マイクロX線回折や電子顕微鏡による組織分析、EDAXによる組成分析を継続している。 1. 合金層形成の研究 Niの添加量の効果、塗布膜厚さなどが金属間化学反応と合金層形成に及ぼす効果を検討した。その結果、レーザ出力2kW、ビーム走査速度1m/min、粉末塗布層厚さ0.2mnの条件で厚さ約0.4mmの一様な合金層を形成できた。熱伝導を絶縁したAlブロックを用いて合金層形成時の温度上昇と温度分布を測定した。合金層は基材内部の温度が上昇するまでの短時間で形成されている。合金層の縦断面と横断面の組織はデンドライとであり、A13Ti、Ti3Al、Al3Niなどの金属間化合物が生成されており、マイクロビッカース硬度で200〜400程度であった。 織、組成分布、微小硬さ硬さ分布などの測定、分析を行う。 2. 合金層物性の研究 形成層形成時の温度・温度変化と断面性状から固液界面における金属間反応過程、溶融プールの局所的マラゴンニ対流、Al-Ni間の反応時の発熱が均質な合金層形成に効果的であると考えられる。
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