基板材料と高い結合力をもち、硬い合金化層を形成するためにレーザ光の吸収による温度上昇、溶融、合金化反応、凝固過程のレーザによる合金化のメカニズムを重視した研究を行った。 具体的には合金化添加材料としてCO_2レーザ光の吸収率が高く、Al基板材料と反応性が高く、かつ、熱伝導率の良いTiO_2にNiを重量比50%コーティングした複合粉末を開発した。 粉末をAl基板表面に厚さ約0.2mm塗布して、レーザ出力2.4kW、ビームの操作速度1m/minの条件で合金化層を形成した。その結果、厚さは最大0.7mm、表面粗さは約0.065mmのポロシティやクラックのない厚さ、組成、組織の均一な合金化層の形成に成功した。この合金化層の微小硬さは約500であり、すべり摩耗試験では高負荷荷重条件下では焼入れした炭素鋼より耐摩耗性が高いことが明らかとなった。 合金化層はAlがマトリックスとなってAl_3Ni、Al_3Ti等の金属間化合物が晶出した組織であり、一度溶融したAlの中にはAl_2O_3分子が分散しているものと考えられる。これらの金属間化合物が形成されるときに発生する反応熱によってAlの溶融時間が長くなり、結果的に溶融金属中の粒子拡散を促進して、合金化層に均質化に効果があることを明らかにした。 レーザ光の吸収特性と基板材料との反応性から適当な金属、セラミックスの組合わせを選択することでレーザによる合金化が実用化できる見通しを得た。
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