メーカーが何年も前に生産した製品に対して、そのサービス部品を供給することは、省資源時代における社会的要請である。しかし、価値観の多様化に起因して製品の種類が増加しているため、想定されるサービス部品のすべてを用意しておくことは難しい。このことから、メーカは重大なサービス部品管理問題に直面しており、年毎にこの問題は深刻化している。これに対して、現在の信頼性理論は、サービス部品管理についての具体的指針を与えるに至っていない。そこで、仕方なく過去の実績をもとに需要予測を行ってサービス部品を管理しているのが現状であり、一方で不要な在庫を抱え、他方で顧客に必要なサービス部品を供給できないといった事態に見舞われている。本研究の目的は、このような現状にかんがみ、製品の生産パターン、製品寿命、部品寿命特性に応じてサービス部品需要がどのように挙動するかを調べることによって、サービス部品管理法を確立し、更にこの知識をもとに部品の信頼性設計をどのように行えばよいかを明らかにすることである。 製品の生産パターン、製品寿命、部品寿命特性に応じてサービス部品需要がどのように挙動するかを正確に求める式の導入に成功した。これに基づき、サービス部品管理法を新たに展開した。またこれらを用いて実用例としてエレベータを選んで、エレベータサービス部品管理のための方法を展開した。エレベータでは、事後保全のみならず、定期保全、状態基準保全が適用されることもあって、事後保全を中心にしたサービス部品管理とは異なることがあることを示し、エレベータサービス部品用の管理方法を展開した。最後に部品寿命特性が分らない場合に、ある時点までのサービス部品の需要から多変量解析法を用いて、それ以降のサービス部品需要量を推定するための方法を確立した。
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