キャビテーション・ボイド率分布のCT計測法を開発するべく、本研究では、その前段回として、空気-水二相流時における矩形断面内ボイド率分布を16個の電極間におけるインピーダンスを計測して行なう方法を検討した。この方法は、早矢仕らにより提案されている方法であるが、その適用例は、流速が極めて遅い範囲(5cm/s程度以下)に限られ、キャビテーションを生ずるような高速流時ではなく、また、管中央部における誤差が大きいことが指摘されている。本研究では、電極の形状を検討し、より高い精度で製作ができ、より高い精度の測定値が有られるように工夫するとともに、より高速な流速の範囲(2〜4m/s)において、種々の電極間に対し印加電圧、印加周波数、サンプリング周波数や測定時間等を変えてその影響を調べ、インピーダンス出力を調べた。その結果、出力信号の振幅が断面平均ボイド率の増加によって、大きく変化するのが見られた。この変化に対応してサンプリングした振幅のヒストグラムが特徴的に変化することから、振幅の実行値(インピーダンス出力に相当する)の他に、分布の標準偏差も変数として加味してニューラルネットワークで学習させてボイド率計測することにより、測定精度が早矢仕らの5%から、2%に高められることが知れた。波形のヒストグラムの、他の特徴変数や周波数領域の特徴変数をさらに用いることにより、より精度の高い測定値が得られる可能性が確かめられたので、引き続き、各種気相および液相流束に対する各種特徴変数の挙動と計測可能性を調べている。
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